リターン(KR/PR)は、キックオフやパントで蹴られたボールを受け、少しでも良い位置から自軍の攻撃を始めるためのプレーだ。ここでは、リターンするかどうかの判断を見たうえで、再開位置を優位にする条件を整理する。
リターンするか、しないかの判断
キックオフの場合
2024年に導入された現行のキックオフ方式「ダイナミックキックオフ」では、ランディングゾーン内に落ちたボールはフェアキャッチができず、必ずプレーしなければならない。一方でエンドゾーンまで届いてダウンすればタッチバックで35ヤード地点となるため、その場からリターンで進められそうな距離と比較しながら判断することになる。
パントの場合
パントはフェアキャッチが認められており、キャッチと同時に前進を諦める代わりに、タックルの衝撃やお手玉(マフ)によるファンブルのリスクを避けられる。ハングタイムが長くカバレッジが迫っている、あるいは自軍が僅差でリードしているなど、リターンの旨みよりリスクが上回ると判断すれば、フェアキャッチが選ばれる。
どちらの場合も共通するのが、キャッチをしくじる「マフ」のリスクだ。手をつけた時点でボールがルーズになれば、そのままターンオーバーに直結する。リターナーにとっては、無理に前進を狙うより、まず確実にキャッチすることが最優先される場面も多い。
再開位置を優位にする条件 ― ブロッキングとリターナーの技術
リターンでどれだけ良い位置から攻撃を始められるかは、リターンチームの返す技術で決まる。鍵は2つある。走路を作るブロッキング体制と、リターナー自身の技術だ。
ブロッキング体制 ― 走路を作る
リターンチームは、決められたレーンに沿ってブロッカーを配置し、リターナーが走り込める走路を作る。ただし、その組み方はキックオフとパントで異なる。
| カバレッジの来方 | ブロッキングスキーム | |
|---|---|---|
| キックオフリターン | 相手10人がほぼ一列で同時に迫る | 壁やレーンを組む、構造化されたスキーム |
| パントリターン | ガンナー1〜2人が早期にリリースし、残りは遅れて合流 | 各ブロッカーが1人を個別に受け持つ、マンツーマンに近い形 |
リターナーの技術
ブロッカーが作った走路を最大限に活かすには、リターナー自身がどこが空いているかを見極める視野と、迷わず一度だけ切り返す判断力が求められる。加えて、蹴られる球の性質やカバレッジの来方によって重視される技術も変わる。
| 球の性質・カバレッジの来方 | 重視される技術 | |
|---|---|---|
| キックオフリターナー(KR) | 高く長く、弾道が安定。カバレッジが追いつくまで余裕がある | スピードと加速力 |
| パントリターナー(PR) | 弾道が不規則で滞空時間が長く、カバレッジも速く迫る | 正確なハンドリングと瞬時の判断力 |
まとめ
リターンは、キックオフではタッチバックとの比較、パントではフェアキャッチとの比較の中で、まずリターンするかどうかが判断される。実際にリターンを選んだ後は、走路を作るブロッキング体制と、リターナーのビジョン・カットバックによって、再開位置をどれだけ優位にできるかが決まる。