2025年シーズン、ランプレーをロスタックルで終わらせた割合が最も高かったのはクリーブランド・ブラウンズの13.44%で、最も低かったのはシンシナティ・ベンガルズの3.88%だった。3倍以上の開きがある。ただし、この数字が高いほど良いランディフェンスだとは言えない。後編では2025年シーズンの実例から入り、守備が何を選んでいるのか、そして今後の攻防までを見ていく。

実例1:ロスタックルを狙う守備

ランプレーをマイナスのヤードで終わらせること、つまりロスタックルの割合の上位は、ブラウンズの13.44%、ラスベガス・レイダースの11.79%、ロサンゼルス・チャージャーズの11.33%と並ぶ。リーグ平均は8.42%なので、上位の3チームは平均の1.3倍から1.6倍の頻度でランプレーをマイナスにしている(集計はレギュラーシーズンのみ)。

ただし、この並びをもう1つの数字と重ねると、様子が変わる。ニューヨーク・ジャイアンツはロスタックルの割合10.61%でリーグ5位につけているが、10ヤード以上のランを許した割合は16.93%でリーグ最悪、1回あたりの被獲得も5.63ヤードでリーグ最悪だ。バッファロー・ビルズも10.56%と14.61%、5.21ヤードという似た組み合わせになっている。

ロスタックルを狙う守備は、同じ姿勢の裏側で破られてもいる。ボックスに人を寄せて前に出れば、当たったときはマイナスになるが、外されたときには背後が空いている。ロスタックルの割合の高さは、積極的に当たりにいっていることを示すが、その結果として守れているかどうかは示さない。

実例2:ロスタックルを捨てた守備

逆の組み合わせを示したのが、ロサンゼルス・ラムズだ。ロスタックルの割合は4.63%で、リーグで2番目に少ない。ところが10ヤード以上のランを許した割合は9.03%でリーグ平均の11.20%を下回り、1回あたりの被獲得も4.38ヤードで、リーグ平均の4.51ヤードを下回っている。

同じ形をさらに徹底しているのがデンバー・ブロンコスだ。ロスタックルの割合は6.55%でリーグ平均を下回るが、10ヤード以上を許した割合は7.56%でリーグで2番目に少なく、1回あたりも3.91ヤードでリーグで2番目に少ない。ロスを奪う回数は平均以下のまま、小さい前進に抑え込んでいる。

この2チームは、ランをマイナスにすることを狙わない代わりに、4ヤード前後で必ず止めている。大きいランを消すことに人を使い、小さい前進は受け入れている設計だ。

同じようにロスタックルの割合が低いベンガルズは、こうなっていない。3.88%でリーグ最少という点はラムズと似ているが、10ヤード以上を13.36%許し、1回あたりも5.42ヤードを与えている。ロスタックルも奪えず、かつ破られている。

ロスタックルの割合が低いことは、設計の結果である場合と、単に止められていない場合がある。この2つは同じ数字の中に混ざっているので、1つの指標だけでは分けられない。

4% 6% 8% 10% 12% 14% 8% 12% 16% ラムズ ベンガルズ ジャイアンツ リーグ平均 8.42% リーグ平均 11.20% 縦 ― 10ヤード以上のランを許した割合 横 ― ロスタックルの割合
図: 2025年レギュラーシーズンのチーム別。横軸がロスタックルの割合、縦軸が10ヤード以上のランを許した割合。ラムズは左下、ベンガルズは左上、ジャイアンツは右上に位置する。

なぜ戻らないのか

2018年に水準が下がってから、8シーズンが経っている。その間、ロスタックルの割合は8.09%から9.58%の帯の中にあり、2002年から2017年の平均9.65%に戻った年は1年もない(ロスタックルの割合は、前編と同じリーグ全体の集計)。

戻らない理由は、守備がランを止める方法を失ったからではない。上位のチームは実際に、リーグ平均の1.3倍から1.6倍の頻度でロスタックルを奪っている。戻らないのは、リーグ全体として、そこに人を寄せない形を選び続けているからだ。

深い位置に2人を残すことも、ラインバッカーをパス対応で選ぶことも、ランを止めるために捨てられる選択ではない。そしてパス1回あたりに許すヤードが2018年以降に減っていることは、その選択が機能していることを示している。ランが止まらないのは、守備が失敗しているからではなく、止めることの順番が下がったからだ。

今後の展望

この8年で動かなかったものと、動いたものがある。動かなかったのはリーグ全体の水準で、動いたのは走られる回数だ。ラン比率は2015年の40.2%から2025年の43.1%まで上がっている(こちらもリーグ全体の集計で、レギュラーシーズンのみ)。1回あたりで止められない状態が続き、そのうえ回数も増えていけば、守備はいずれ配分を考え直すことになる。

その兆しは、すでに編成の側に出ている。ベースパッケージ――DB(ディフェンスバック)を4人に抑えた編成――の使用率は、2023年の20.8%から2025年には29.7%まで戻っている。ボックスに重い選手を置き直す動きで、ランを止める側に人を返しているとも読める。

ただし、深い位置に2人を残す形は増え続けている。守備はいま、ボックスの中身は重くするが後ろの2人は動かさない、という形を探している途中にある。この2つが同時に成り立つのかどうかが、次に見えてくるところだ。

観戦のヒント: ランが止まったかどうかを、進まれたヤードだけで見ないでほしい。スナップの前に、深い位置にセーフティが何人いるかを数えてみる。2人が深いままなら、その守備は4ヤード前後のランを受け入れる形で立っている。1人だけ深く、もう1人がLOSの近くまで下りてきていれば、そのプレーは止めにきている。
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守備が攻撃の何を読み、守り方をどう選ぶかは、以下の基礎知識で解説している。