2025年シーズン、NFLで最も語られたバズワードの1つが「13パーソネル」だった。かつては自陣深くで使われる保守的な隊形だったこの人員構成が、なぜ攻撃的な武器として台頭したのか。震源地となったロサンゼルス・ラムズの数字とともに追ってみたい。

13パーソネルとは何か

パーソネルは2桁の数字で表され、十の位がRB(ランニングバック)、一の位がTE(タイトエンド)の人数を示す(残りは自動的にWR)。13パーソネルはRB1・TE3・WR1という編成で、通常のスロットやアウトサイドのWRをTEに置き換えた形になる。

ラムズ発の急増

2024年までは一部のチームがまれに使う程度だった13パーソネルだが、2025年シーズン、ラムズがこの流れを一変させた。331回使用し、過去20年のNFL記録(2021年ブラウンズの204回)を大きく更新。全1,056スナップの31%に達し、2位スティーラーズ(13%)を引き離した。この流れはラムズ1チームにとどまらず、リーグ全体で3TE以上を並べるプレーが1,897回に達し、前年から33%増加、記録が残る中で最多となった。

204回 過去最多(2021年 ブラウンズ) 331回(31%) 2025年 ラムズ
図: ラムズの2025年13パーソネル使用は331回(全スナップの31%)に達し、過去20年の記録だった2021年ブラウンズの204回を更新した。

なぜ機能するのか ― 数の攻防とミスマッチ

TEを3人並べることで、ランに対してはブロックのための余分なギャップを作り出せる。ディフェンスがこれに対応してボックスの人数を増やせば、体格で分の悪いDB(ディフェンスバック)がそのまま走らされるリスクを負う。ところが問題はそこで終わらない ―― 並んだTEたちは、状況に応じてそのままルートに散って捕球もできる。走れて、当たれて、獲れる。この「何もかもできる」選手を複数並べられることが、13パーソネルの最大の武器になっている。

LOS TE TE TE WR RB QB
図: 13パーソネル(RB1・TE3・WR1)の隊形イメージ。強サイドにTEを3人並べ、余分なギャップとミスマッチを同時に作り出す。

数字が示す破壊力

ラムズの13パーソネル時のプレーあたりEPA(エクスペクテッド・ポイント・アデッド)は+0.23で、20プレー以上使用した22チーム中2位の高水準にある(1位はビルズの+0.35)。注目すべきは母数の大きさだ。ビルズの13パーソネル使用はわずか50回にとどまるのに対し、ラムズは331回に達する。母数が小さいほど平均値はブレやすく、偶然高めに出ることもあるが、母数が大きくなるほど統計的な信頼性は高まるため、ラムズの数字の凄さを証明している。QB(クォーターバック)のスタッフォードはこの編成から68.3%の完成率(99/145)、22本のタッチダウンパスを記録している。

保守的な隊形から、攻撃的な武器へ

興味深いのは、その使われ方の変化だ。従来13パーソネルは、自陣深くでミスを避けるための保守的な選択とされてきた。ところが2025年シーズンは、自陣エンドゾーン付近だけでなくゴールライン付近でも積極的に使われるようになり、守りの隊形が得点を狙う攻めの武器へと役割を変えつつある。

観戦のヒント: オフェンスがTEを3人並べたら、それはランの合図とは限らない。むしろパスの構えである可能性が今や高い。
もっと詳しく

パーソネル(人員構成)の数え方の基本や、13パーソネルを含む実際のフォーメーション例は、以下の基礎知識・戦術まとめで解説している。