前編では、プレーアクションパスの効果を裏付ける数字と、それでも長年使用率が伸びなかった理由を見てきた。後編では、実際にその使用率を動かしつつあるコーチの実例と、今も残る「伸びしろ」の実態を見ていく。
実例1:ベン・ジョンソンが持ち込んだ変化
2022年から2024年までデトロイト・ライオンズのオフェンスコーディネーターを務めたベン・ジョンソンは、2024年シーズン(11月時点)、ジャレッド・ゴフのパスの37.2%でプレーアクションを使い、全QB(クォーターバック)中トップだった。2025年、ジョンソンはシカゴ・ベアーズのヘッドコーチに就任。就任後、同チームのプレーアクション使用率は33.10%までリーグ2位に跳ね上がった。
象徴的なのが、ウィリアムズ自身の変化だ。2024年11月時点の調査では、ウィリアムズのプレーアクション使用率はわずか19%(全QB中29位)にとどまり、「苦戦している」と評されていた。同じQBが、コーチが変わっただけでこれだけ数字を伸ばした事実は、プレーアクションの使用率が選手の能力や好みではなく、コーチの方針によって大きく左右されることを裏付けている。
実例2:それでも残る「伸びしろ」
2025年シーズンの数字を見ると、使用率の高いチームはロサンゼルス・ラムズ(34.40%)、シカゴ・ベアーズ(33.10%)、マイアミ・ドルフィンズ(31.80%)。一方、使用率の低いチームはシンシナティ・ベンガルズ(17.10%)、ニューヨーク・ジェッツ(20.40%)、ニューオーリンズ・セインツ(20.60%)。最も使うチームと最も使わないチームの差は17ポイント以上に達しており、リーグ全体の使用率が底上げされた今も、チーム間の差はむしろ大きいままだ。
プレーアクションの効果自体は、前編で見た通りすでに10年以上前から数字で示されている。それでもなおこれだけの差が残っているという事実は、効果を知っているかどうかではなく、それを実際の采配にどこまで反映させるかという、コーチごとの判断の差が大きいことを物語っている。
今後の展望
プレーアクションパスの効果は、10年以上前から数字で示され続けてきた。ジョンソンの事例が示すように、使用率を伸ばす余地は今もチームごとに大きく異なっている。この「伸びしろ」がどこまで埋まっていくのか、来シーズン以降の采配を追いかける新しい視点になるはずだ。
- Boston Globe ― Why the Patriots, and all NFL teams, need to call more play-action passes
- Chicago Bears公式 ― Bears hire Ben Johnson as head coach
- Windy City Gridiron ― Caleb Williams has already surpassed last year's total play-action yards
- PFF ― Fantasy Football 2026: How play action, pre-snap motion, and RPO rates define 2026 fantasy value