2023年シーズン、NFL全体のベースパッケージ使用率はわずか20.8%まで落ち込んだ。ところが2024年に23.2%、2025年には29.7%まで数字を戻し、7シーズン前とほぼ同じ水準まで反発している。ニッケル全盛と言われて久しいNFLで、なぜ今、DB(ディフェンスバック)を増やさない伝統的な編成が息を吹き返しているのだろうか。
数字で見る反発
まずは数字で流れを確認しておきたい。ベースパッケージ(DB4人)の使用率は、2017年の32.6%をピークに右肩下がりが続き、2023年には20.8%まで低下した。しかし2024年に23.2%、2025年には29.7%まで回復し、直近2シーズンでの反発幅は9ポイント近くに達する。入れ替わるようにDB(ディフェンスバック)を多く並べるニッケル(5人)の使用率は、2023年の66.5%から2025年には59.5%まで低下した(数値はnflverseが公開しているPlay-by-Playデータをもとに独自に算出したもの。DL・LBの内訳は問わず、DBが4人のプレー全体をベースパッケージとした)。
理由1:オフェンスの重厚化
反発の背景にあるのは、オフェンス側の編成の変化だ。TE(タイトエンド)を2人以上並べる12パーソネル・13パーソネルの使用率は、2023年の合計23.8%から2025年には29.5%まで上昇した一方、WR(ワイドレシーバー)を3人並べる標準的な11パーソネルは、同じ期間に64.1%から58.8%まで低下している(この2つの数値も、nflverseのPlay-by-Playデータをもとにした集計。NFL全32チーム合計・レギュラーシーズン)。ラムズが13パーソネルを積極的に使いながら高い効率を残しているように、TE(タイトエンド)を複数並べる重い編成を採用するチームが増えている。
理由2:「ニッケルタックス」という弱点
TEを複数並べる重い編成に対し、ニッケル(DB5人)の軽いボックスのまま対応しようとすると、構造的な弱点が生まれる。ランサポートのためにセーフティを無理にボックスへ寄せると、その分だけ深いエリアを守る人数が減り、外側のCB(コーナーバック)が1対1で孤立してしまう。海外メディアではこの代償を「ニッケルタックス」と呼び、重い編成を使うオフェンスがまさにこの隙を突いていると指摘されている。加えて、スピードとカバレッジ能力を兼ね備えた新世代のLBが増えたことも、コーディネーターがパスの可能性が高い場面でも無理にニッケルへ替えず、ベースのまま構える自信を後押ししている。
- PFF ― How the NFL is Evolving: Five schematic trends that have shaped the 2025 season
- PFF ― Fantasy Football: Tracking base, nickel and dime trends to exploit 2026 fantasy matchups
- Match Quarters ― The 12-Personnel "Nickel Tax": Erasing the Return of Backside "Iso-Ball"
- NFL.com ― NFL trend watch: Heavy personnel could shape Super Bowl LX showdown between Patriots and Seahawks
- nflverse(nflfastR)― Play-by-Play Data